(  市)ルネサンスへ<2015-0612ーa 暗黙の強制力、



2:強制。


そうした意味で、
それと意識されることなく感じられる肉体の感覚も、
そして、それを感じる意識のあり方も、あるいはまた、
たんなる気分としての、情緒といったものも、
自分の預かり知らぬ、見知らぬ他者の、
絶対的な意志の強制といえないだろうか?

言いかえると、自分の感覚や、意識や、
何かを目指す意志といったものが、
見知らぬ誰かの絶対的な意志の力によって、
条件づけられ、方向づけられ、与えられてきた、
ということである。そしてまた、そうする以外に、
何かを感じ、意識するといったことが、
自意識として獲得されることがなかっただろう、
ということである。

それでは、自分の中に入り込んでいる、
他者としての絶対的強制力、自分の意識や感覚、
考え方や行動までも支配している、
絶対的な強制力としての他者とは、
その正体とは、いったい何なのか?

それは、ひとことでいうと、その文明を動かしている、
根本原理と、それがカタチとなって機能している、
文明の様式である、と言える。まさしく、
この基本原理と様式によって、すべてが説明される。
個人の気まぐれや思いつき、感情の持ち方や、
考え方のパターンに至るまで。それらすべてを、
規制し、方向づけ、条件づけている、必然性なのである。

 戻る。                 続く。
ルネサンスへ