(  市)ルネサンスへ<2015-0626-a 夢の中の背景色。



5:つぶやき。


なにもないはずの、夢の中の暗い灰色のなかから、
それがマダラとなって、おぼろげにかすんで見えてきて、
常に揺らめいで、変化と移動を繰り返しながら、
それがやがて何かの線となり、輪郭線となり、
姿となって見えてくる。それは、自分自身の思い込みでもあり、
精神の動揺や、わけのわからない衝動の叫びや、
気の迷いなのである。

なにか得体の知れない悩みや恐怖、あこがれや祈りといった、
迷える本能、ないし衝動といったものが、言葉で表現できずに、
なにかの姿(スガタ)として映しだされ、表現されたのである。
心の奥底の闇の中から押し出され、あるいは、
かなたの、めまいのするような眩(まばゆ)い光の中から
浮かんできて、そしてそれが、形(カタチ)になったのである。

それは何か理由のある感情ではなくて、むしろ、
情緒というのが、どこかで引き裂かれて、その裂け目から、
誰かがつぶやいているのでる。そしてそれが何なのか、
自分でもわからずに、言葉で表現することだできずにいるのである。

 戻る。                お終い。
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