(  市)ルネサンスへ<2015-0626-a 夢の中の背景色。



4:予感。


この暗い灰色の中から、何かが見えてくるためには、
それ以前に、外の色が必要なのである。
もっとも負担が少なく、シンプルでかんたんな色、
それでいて正確に姿を確められる色。
個性が消えて色がなくなった、明るさだけの色、
それが明るい「灰色」である。だからまた、
その背景は濃い「灰色」なのである。それ以外にないのである。

だから夢の中はたいてい、色のない、そして薄暗い、
ほのかな明るさだけの世界なのである。人が落とす影がなく、
足元も消えている。夢の中では、見る必要のないものは、
見えてこないのである。それが気持ち悪く思えて来るのは、
まさしく、それが非現実的な世界だからである。

夢の中、自己の観念だけの世界から、
なにかが形やすがたとなって現れてくる。
なにもないところから、突然でてくるのではない。
なにも無いはずなのに、何かを予感させ、
暗示するような、予兆が感じられてくるのである。

というよりも、それは、自分自身が心の中のどこかで
求めていたものか、それとも、無意識のうちに感覚が、
それ自体として何かを感じていて、
それが不可解な理解不能な映像として、
夢の中に映しだされているのである。
自分でもそれが、なぜそうなるのか、それが何のか
わからないのである。意識とか思考の届かない、
純粋な感覚器官だけの世界なのである。
あるいは、意識の届くことのない、無意識の世界である。

 戻る。                続く。
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