( 市)ルネサンスへ<2015-0626-a 夢の中の背景色。
3:始まり。
始まりのそれは、 見えるとか、見えない以前の、なにもない状態である。 それは、区別のない、識別もできない世界である。 自分が見えず、見つからず、他人との区別のない世界である。 だから、夢の中の背景の色は、真っ暗にほんの少し白がまじった、 淡くて暗い灰色なのである。 別の言い方をすると、この濃淡というのが、 目にとって、もっともリラックスした状態の色だということである。 目には確かに見えているのであるが、それが、 目にもっとも優しく負担の少ない色、ほとんど眠っているような、 そうした明るさ。それが、つまり、暗い灰色なのである。 やっと、意識できる最小限の明るさである。 これを、現実の世界にたとえるなら、月夜の世界である。 明るさといい、そのカゲもそうである。そして遠景がまったく見えず、 無視されている。自分の都合と思い込みだけで世界を見ている。 真っ白な光の明るさは、目が覚めてしまう。 かといって、真っ暗は、意識そのものがない世界である。 なにも感じず、確められず、自分がだれなのかも分からなくなる。 自分と他人の区別が見えない世界である。 だから白でも黒でもなく、暗い灰色なのである。 |