( 市)ルネサンスへ<2015-0626-a 夢の中の背景色。
2:真っ暗。
「真っ暗」というのは、なにも見えない。 目を開いていても、閉じていても同じ状態である。 自分でも、目を開いているのか、 閉じているのかわからないのである。それが、 夢なのか、現実なのか識別できないのである。 確かめることも、自覚することもできず、 はたしてそれ以前に、 自分に目があるのかどうかもわからない、 そういう状態である。 目の中が真っ暗で、何も見えないということ。 ないから見えないのか、あるのに見えないのか、 たしかめようのない世界。ということは、 確かめる本人がいるのか、いないのか、 それすらもわからず、自分の意識がつかめられずに、 自意識が不明の状態。自分がわからない状態である。 何か、有るのか無いのか?そして、それ以前に、 それを見ていると思っている、自分の意識そのものに、 果てしない疑惑をいだくのである。 自意識というのを、ないしは、自分自身の存在というのを、 確かめようがないのである。だから夢の背景色は、 濃灰ないし暗い灰色でなければならない、のである。 そうした闇の底から、忘れられていた記憶がよみがえって来て、 淡い灰色のシルエットとなって、浮かんでくるのである。 初めは、途切れ途切れの線。そして、それがつながって線となり、 輪郭となり、そして、なにかの姿のように見えてくるのである。 そしてやがて、そのすがたの表面に模様と色が現れてきて、 それが何だったのかというのが、わかってくるのである。 |