(  市)ルネサンスへ<2015-0724-a



1:境界線。


それは男も同じなのであるが、
テレビの中の、女と男の顔に、僕は、
とっても違和感を感じてしまうのである。
ずっと、そうだった。それがなぜそうなのか、
自分でもよくわからず、ただ、異質の、
別世界の住人のように思えてならなかった。
テレビの中ほどではないが、
街中で見かける若い男と女にも、
やはり、異様な違和感を感じてしまう。

僕の若いころとは「何か」が、根本的に違う。
よく見ると、仕草や顔の表情、話し方、
人との接し方にもあらわに現れている。
全然違う。僕の若いころとは全く異質な世界だ。

女の顔に内面というのがないのである。
これは、ある意味でオバケである。
人間には心があって、精神があって、
そして、自分自身というのが、あるはずなのであるが、
そうしたことが女の顔には、どこをどのように見ても、
見えてこないのである。自分と他人との間にあるはずの、
「境界線」が見当たらないのである。

内面が、そのまま露わに外面に出ている。あるいは、
同じことだが、外面がそのまま内面となっている。
内面世界と外面の区別がない。「境界線」がない。
自分と他人の区別がない。精神と現実との間に、
明確な区別というのがなく、自分と現実世界との間に
ケジメというのが存在しない。これでは自分が見えない。
自分が誰なのか、わからなくなる。

 戻る。              続く。
ルネサンスへ