(  市)ルネサンスへ<2015-0731-b 続、アイドルの女、



2:窒息。


しかし、これはこれで、そのまま、現在日本の文化と
社会状況を表現している、現実なのである。
現在日本を支配している感情や、情緒や考え方、
生き方といったものが、そのまま顔に出ているのである。

自分と他人との区別が限りなく希薄な、そうした閉じた、
自分たちだけの世界を生きているのである。
現実から目をそらし、かくしている。そう仕組まれ、
しつけられている。自分のことを、自分で生きるというのが
何か悪いことのように、追いたてられ、
自分で生きて行けなくされている。

たしかに、助け合いや協調性、みんな平等というのは、
居心地がよく理想の世界である。しかしそれは、
人間の本質に反する世界でもある。
人間には衝動と反発、そして感情というものがあって、
自分のことを自分でい生きようとする、
はてしない憧(アコガ)れや夢があるのである。
また、そうした中でしか、
本当の自分というは出て来ないのである。

なにもかも恵まれて与えられるというのは、
反面、自分の居場所、自分の生き方、
自分の意思がないということなのである。
自分というのが窒息してしまう。
知らぬ間に自分というのを失ってしまう。
そうした、非常に危険な状況なのである。

正直ですなお。表と裏がない。
それが当たり前。そうしていられる。
そしてそれがおかしいと思わないでいられる。
そうした社会。何の違和感もない。
そうした、作られ仕組まれたシステム。それは、
日本という隔離された島だからこそ成り立つ、
常識なのである。

心の中に隠れた部分がない。そして、疑うことを知らない。
他人に対する警戒心もない。他人に対しても、
そしてまた自分自身に対しても。そもそも、
自分自身といったものがきわめて希薄なのである。

 戻る。              お終い。
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