(  市)ルネサンスへ<2015-0821 夢の世界、



2:雲模様。


この「何か」というのが、濃い灰色の世界なのである。
真っ黒だと何も感じないのであるが、ほんの少し、
少しだけかろうじて、何かを感じていると思えて来る、
そういう視覚の世界なのである。

つまり、目というのが、もっとも安定し、
落ち着いていて、情緒的にもやすらいでいる状態。
もっとも疲労が少なくて休んでいるような状態である。
目の感覚といったものが、自分本来のゼロの状態に
あるような世界である。ほとんど何も感じないが、
ほんのかすかに何かを感じているというか、
なにかを理解できる状態である。

だがしかし、この状態にあっても、
自分が意識する限り、目はたしかに何かを見ている。
僕には、ぼやけておぼろげな雲模様が見える。
明暗の差(コントラスト)の非常に弱い雲模様が見える。

そしてたまには、イナズマが走ったような無数のキ裂みたいな
ものが見えることもある。
(眼球内の毛細血管の影響かも知れない)。
しかし、これはほとんど例外であって、たいてい何もみえないし、
いつも見えてくるのは、やはり、薄暗い雲模様なのである。

とりとめなく不規則で、偶然だけが支配する、
つかみどころのない世界。それは同時に、
自分自身の、おぼろげにかすんで見える、
意識の世界である。意識はやがて、
安住の地を得て眠りの世界へと入ってゆく。
落ち着きと安心、あるいはまた、苦悩と絶望のうちに
眠りの世界へと入ってゆく。

 戻る。              お終い。
ルネサンスへ