(  市)ルネサンスへ<2015-0807-b 夢の中、



2:プライバシー。


もしも、夢というのを、このような自分自身の非現実的な、
思いつきと気まぐれだけが支配する、気ままな感情の世界
だとすれば、私たちが生きている現実の世界といったものも、
これと非常によく似た世界だと言える。まるで、夢のなかから、
現実が出てきたような世界である。

だれもが気まぐれで、自己意識というのが非常に希薄で、
自分自身に対する責任にまったく無頓着で、むしろ、
逃げることばかりを考えて行動する。自由という名の思いつきと、
気まぐれの現実逃避の世界を生きている。
それは、逃げ場のない、永遠に自己内循環を繰り返し続ける、
真の変化は絶対にあり得ない、鏡(カガミ)の中の世界である。
真の現実は、この鏡の外にあるのである。

自己と他者の区別がなく、発展も後退もない。
同じことが永遠に繰り返されるだけの世界。
それは、時間という概念の存在しない世界でもある。
だから、そこから出て行くしかないのであって、
そうやって、初めて本当の自分が見えてくるのである。

それは、自己と他者の境界線であって、自分というのを、
外から客観的に見ることができるようになって初めて、
気づくことになるのである。言いかえると、それが、
プライバシーであり、人権であり、人格なのである。
自己というのがめざめて、自覚され、自立するのである。

 戻る。              続く。
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