( 市)ルネサンスへ<2015-0911 カスミとボヤケ。
1、見えない。
「かすむ」というのは、目と景色との間に何か、例えば霧(キリ)とか煙が入って来て、風景がよく見えないとか、何かのトバリやモヤの中で、景色が薄くなって消えてゆくことである。それとか、例えば、立ちくらみや目まいのように、遠のいてゆく意識の中で、目の中の景色も一緒に消えてゆく、そんな場合である。あるいはまた、暗いトンネルを出た直後、一瞬なにも見えない、こうした場合を、「かすむ」と言っいるようである。 しかし「ぼやける」といった場合には、もっと意識的で、意図的な感じがするのである。本人の自分勝手な気まぐれや思い込みでもって、ものを見ているように思えてくるのである。 「カスム」というのが、キリとか、意識の喪失などの、本来、自分の預かり知らない、自分の外からの物理的な原因によるものとすると、「ぼやける」というのは、自分の好みや目的に合わせた主観的で意図的なものの見え方のように思えて来るのである。 「ぼやける」というのは本来、目の水晶体(レンズ)と景色との間の、焦点距離の違いに原因がある。しかし、それ以外にも「ぼやける」と感じることがある。例えば、人と話をしているときである。そういうときは、相手の「目」以外は、ほとんど見えないというか、見ていないのである。そしてその、見えていない部分がボヤケているように感じるのである。 |