(  市)ルネサンスへ<2015-1030



肉体の制約、~その1。


人間がこの世に生まれ、何を見て、それをどう考え、
いかに行動するかということは、それ以前にすでに与えられている。
それ以外の生き方といったものは、現実には存在しないのである。

例えば肉体的制約。
人間は二足歩行である。つまり、地上で生きるように出来ている。
水中でも空中でも生きてゆけない。
人間のカラダ(肉体)は左右対称である。人間が作り出すものも、
たいてい左右対称である。そのほうが把握しやすいし、理解しやすいし、
使いやすく、そして作りやすいのである。人間のカラダと脳ミソがそのように
出来ているのである。

カラダ(身体)の感覚器官は、視覚・嗅覚・触覚・味覚・聴覚の
ほぼすべてが前面・正面配置である。背面に向かって設置されてはいない。
どういうことかというと、人間の感じ方や考え方、そして行為や活動、
つまり、生き方や存在の仕方といったものが、方向性を持っていて、
それが意識されることはないにしても、何かを指向するところに成り立って
いるということである。生きていること自体が何かを指向してるのである。

あるいはまた、視覚という感覚器官にしぼって、その制約を見てみると、
人間の目に感じるのは、赤から青色までである。それ以外の、
波長の長い紫外線については光としてではなく、熱として感じている。
見ているのではなく、熱として触覚で感じているのである。
そして反対側、青色よりも波長の短い光については、電波として、
人間の感覚では直接感じることのできない領域となっている。
熱・光・電波といったものは、本来すべて同一の電磁波なのであって、
それらがただたんに、波長の違いによって、人間の感覚では別のものとして、
別々の感覚器官でとらえられているのである。

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