(  市)ルネサンスへ<2015-1106 まやかし、



4:偽りのアイデンティティー。


人間本来の個性といったもの。その人だけにしかない、
個人の精神の無限の可能性や永遠性などといったものは、
何の価値もない、すべてはジャマなもの、よけいなもの、
不必要なものとして排除されている。したがって、個人の、
そのひとにしかない、その人の証明、確信、意志といったもの、
つまり、より本質的にいうと自分が自分であること。
自分自身のアイデンティティーといったものが、
現実の中から見いだせないのである。これでは人間というのが、
ただのロボットか、誰か他人の「入れ物」に過ぎなくなってしまう。
その人自身の実体やタマシイ(魂)といったものが消失しているのである。
蒸発して周りに同化して喪失しているのである。

実を結ばない花。個性なき均質の時代。
何も生み出さず、なんの変化もない時代。
カラ(殻)の中にひきこもって、外を見ることのない世界。
自分の外にある、客観的な現実というのが存在せず、
自分たちだけの思い込みと主観だけが支配する、
閉じた世界である。夢とまぼろし、迷信とまやかしの世界である。

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