(  市)ルネサンスへ< 「ぼやける」。



3:「かすむ」。


ここまでくると、それは意識もされず、自覚もないといっても、
それはもはや事実から離れた観念的で意図的な映像、
もしくは迷信と思い込みに基づく幻覚に近いものになってしまう。
そうなると、それは本来の「ぼやける」といった、視覚の感じ方とは
別の話になってしまう。観念的な意識の話になってしまう。

それはまた、「かすむ」といった意味とも違う
「かすむ」というのは、目と外の世界との間に何か、たとえば、
霧(キリ)が入って来て、ものがよく見えない状態である。
あるいはまた、頭の中で何かの衝撃があって、意識が薄れてきて、
外の世界がかすんで、うすれて、ぼんやりと消えてゆく、
そうした状態である。

つまり、見ている本人の預かり知らぬ、
自分の外の客観的な世界を言っているのである。
見ている本人自身の、思い込みの主観とか、
意識の入る余地のない世界である。
だからこの「かすむ」というのも、考察の対象から除外される。
そうやって話はまた、「ぼやける」といった感覚的な世界へと
戻ってゆく。

 戻る。                 続く。

<ルネサンスへ