( 市)ルネッサンスへ< 2016-0101 新、「ぼやける」。
1:指向性。
人間が生きてゆく上で、視覚情報というものは、どうしても必要な 不可欠なものである。だがしかし、それ以前の、無意識の好みとか、 好き嫌いの傾向とか、興味といったものはどうだろう? ふだん意識されることのない無意識の感覚である。しかし、 無意識であっても、そうした感覚はたしかに働いているのである。 そして、そうした感覚を無視しても、なお、残るものがある。 感覚の感覚に対する感じ方である。 視覚の視覚に対する感じ方である。 意識から分離独立した感覚が、感覚自身に対して抱く 感じ方である。感覚は、感覚のことをどのように感じているのか、 ということである。 なにか意識されるワケとか理由があってそうなのではない。 あるいはまた、そうと感じる何かの対象とか相手がいる ワケでもいないのに、視覚がそれ自体として感じる、ここちよく、 おだやかで、優しげな雰囲気とでもいったものなのである。 あるいは反対に、わけもなくイラついたり、嫌ったり、 避けたりするのもそうである。 あるいはまた、本人の気質や気性、気分といったものもそうである。 もっと言えば、本人の気まぐれや思い込み、発想の枠(ワク)自体が そうなのである。それ以前のところで、すでに何かに支配され、 制約され、方向づけられているのである。 それが人間存在の前提としての自然的条件、風土なのである。 |