( 市)ルネサンスへ< 2016-0122-1 衝動。
1:無意識。
たしかにそれは、自分にとって見れば、まったく身に覚えのない ことで、得体の知れない、正体不明の、わけのわからないもの なのである。そうとしか言いようのないものである。にもかかわらず、 自分でも抑えきれず、コントロールできない衝動として、自分に迫って 来て、突き動かすのである。それは自分でも、どうにもならないもの なのである。 しかし、そうしたことは十分に説明できる。 そうした、神々の現れ出る場面といったものは、 かなりの程度で説明できる。 精神の闇の底から押し出されて浮かび上がってきたもの。 あるいは、天上のかなたからヒラヒラと舞い降りて来て、 風や雲の切れ端となって、つながって、何かのイメージとなったもの。 心の中のわけのわからない何かが、姿を変えて、それとは別の 印象や、象徴として、あるいは暗示や示唆するイメージとして、 夢や幻(マボロシ)の世界に映し出されるのである。 あるいは、現実の世界の陽炎(カゲロウ)や蜃気楼(シンキロウ)の 陰の中に、何かの象徴やイメージを見ている。その陰のなかに ある何かに誘われて、そして、それを暗示し、示唆する 模様やパターーンを見ているのである。あるいは、吹雪や霧の中、 深夜の稲妻(イナズマ)、月明りの下の水辺に映る自分の姿に、 それを見ている。 空間がゆがみ、ゆれて、引き裂かれた裂け目がつながり、 広がっていって、そしてその中から、何かのイメージが浮かび 上がってくる。そうやって、現実の世界というのを、夢とマボロシの 中で生きているのである。覚めることのない無意識の世界で、 自分の心の中を見ているのである。 |