(  市) ルネサンスへ< 2016-0129-b 四季、



夏の色。


夏の空気の色は黄と赤の暖色系であるが、風景そのものには
黒色がほんの少し混じっている。そして同時にまぶしい。
直射光自体が非常に強く、それが景色のコントラストの濃淡を
際立たせ、さらにまた、影というのが強く感じさせるのである。
天空の青色もほんの少し黒色が混じっている。

全体としてふてぶてしく、あつかましく、そして力強い「色」である。
コントラストの両端、白と黒の辺部は消えている。「白飛び」、
「緑陰」といって、人間の目の許容値を超える部分は一律に白
または黒として見えてきて、表面の模様が見えなくなってしまう
のである。そしてまた、特に直射光による影の濃淡は非常に
明瞭である。そうしたことが一層、景色に力強い現実感ある
印象を与えている。

湿度が高く、その水蒸気の絶対量自体が圧倒的な多さで
世界を包んでいて、熱さというのが、感覚を越えた生理的で
心理的な蒸し暑いものとなっている。植栽の色も、湿気とその
表面の蒸散作用によって、テカテカとツヤがあって、まぶしい光
を反射している。

いたたまれない、生理的にも情緒的にもじっとしていられない、
そんな蒸し暑さである。水と熱による生命の狂気を感じさせる、
そんな暑さである。


夏は日差しが強く、まぶしく、明るく、そして風景には黒色が
少し混じっている。直射光の強さが影を際立たせ、湿気の多さ
が景色を滲んで見せている。
そうしたことが風景の鮮やかさに力強い奥行きを与え、そして
強い現実感を感じさせるのである。迫ってくるような印象である。
じっと留(とど)まっていることを許さないような、そんな印象である。
水と熱による生命の爆発が、休む間もなく破壊と創造をくり
返している、そんな「色」である。

 戻る。              続く。
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