(  市)ルネサンスへ< 2016-0205 陰、~間接光の世界。



1:非現実的。


間接光の世界は、直射光(直接光)とは大きく異なる。
間接光とは、元々は太陽の直射光だったものが、
あたりかまわず無差別に反射を繰り返して、その結果、
ほとんどすべての角度から、風景を照らし出している状態である。
環境光とも言われている。だから、影は発生しない。

間接光が落とす影はない。明と暗の、あるいは光と影の
はっきりした区別が存在しない。それらがいっしょくた
になっている。ケジメがなく、境界線というのがはっきりしない。
むしろ、境界線(輪郭)をぼかしているようにも見える。

直射光が照らし出す表面の明るさと、そのカゲの間に間接光が
入り込んで、それらの輪郭(境界線)を曖昧にしているのである。
そして直射光が無いというのは、その輪郭の線が薄れている
ということであり、明暗の濃淡(グラデーション)だけで世界が映し
だされているということである。

たしかに、ものとものとの間の境界線が見えてはいるが、それが
全体としての景色の中の模様に過ぎなくなっていて、景色全体
が、言わば、平板な、奥行きの欠いた、平面でつながってい
るだけの、作り物のように見えてくるのである。偽りのイミテーション、
まやかしの非現実的な感じがしてくるのである。まるで夢の中の
世界のように。

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