( 市)<ルネサンスへ<2016-0226 かすみの風景、
1:かすむ。
早春のころ。明け方はまだ肌寒く、風もひんやりしていて、少し冷たい。 この冷たい地表面に、南からの湿気を含んだ、暖かい空気が入って 来て、それが朝の靄(モヤ)となって地上を包む。 午前中はよく薄霧(カスミ)が発生し、景色が白っぽくかすんで見える。 「白」というのは、つまり、水蒸気のことであって、空気中を漂う水の ことである。この非常に薄い水蒸気が世界全体を覆い、 風景全体がかすんで見えるのである。強い風もない。 でも、都市化が進み、カスミが発生しにくくなった。だから、街中に いると、カスミに気づくことはあまりない。通りをへだてても、 道路の向こうの先をながめても、やはり、カスミがわからない。 靄(モヤ)なのか、排気ガスなのか、黄砂なのか、判別も出来ないし、 また、特に気になるということもない。 しかし、同じ時刻に郊外へ出てみると、やはり、疑いようがない。 ひんやりしていて、少し冷たい空気。そして、暖かく、 少し強いと感じるくらいの直射日光。そしてなによりも、 川岸や田んぼ、あるいは近くや遠くの山々、そうした景色といった ものが、確かに靄(モヤ)に包まれて、かすんで見える。 戻る。 続く。 |