( 市)<ルネサンスへ<2016-0226 かすみの風景
10:切断。
肉体の感覚と精神が分裂し、そしてまた、自分の記憶やルーツと いったものが、どこかで断絶している。自分がどこかで切断され途切れて 見えなくなっている。感覚と意識の一体性・全体性が破壊され、 自己の実在性とか現実感といったものが、非常に希薄になっている。 これは、自意識とその領域、自己と他者の区別、そしてその領域と 境界線の確定、そしてまた人格の喪失と深く関係している。 それはまた、日本列島の自然条件、そしてその中で繰り返され 型となり、リズムとして保存されてきた、もの言わぬ民族の、 無意識の記憶なのである。人々を支配する、その場の「空気」や 雰囲気といったものがそうである。あるいは気質や気性といったもの、 情緒や情感といったものが、そうなのである。自覚もされず、意識が 届くこともない無意識の、自分自身の記憶なのである。あるいはまた、 それが民族の記憶といってもよい。それが、どこかで破壊され途切れて いるのである。 しかしまた、それこそが自己の一体性なのであり、ルーツ(記憶)なので ある。いわゆる、アイデンティティーなのである。 自分自身そのものなのである。それがどこかで切断されている。 戻る。 お終い。 |