(  市)ルネサンスへ<2016-0304ーb2 風景の記憶



1:第六感。


本当は、肉体の五感以外に、まだ気づかれていないというだけの、
ほかの感覚もあるのかも知れない。それにまた、複数の感覚の綜合された
アンサンブルみたいなものが、それとは別の何か異質な感覚を作り出している
のもまた事実である。直感とか第六感といったものがそうである。
場の「空気」とか、雰囲気といったものもそうである。あるいはまた、
本能とか衝動といったものも、たしかに、そうした異質な感覚みたいな
ものが作用しているようにも思えてならない。

        ×           ×

まず、ことわって、おかなければならないのは、
感覚の五感といったものは、それぞれが単独で感じられることは、
まずないということである。それらは常に他の感覚といっしょにやってくる。
いっしょに感じられているのであるが、もっとも印象に残るものだけが、
感覚の記憶として残っているのである。

感覚というのは、視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚のことであるが、
それらがいっしょになって、というのは、人間は自分の身体(カラダ)
全体で何かを感じている、ということである。つまり、すべてのどの感覚
にも、その感じ方それぞれにキッカケや動機、理由といったものがある
ということである。

それが空間の中を、時間的に始まり変化して消えてゆくのである。
つまり、なにかを感じるというのは、そうした場面ごとの、瞬間のこと
なのである。時間の流れの中で、瞬間的に切り取られた一コマに
すぎないのである。そしてその中のもっとも印象的なものだけが
記憶として残っているのである。

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