(  市)ルネサンスへ<2016-0311 まぶしい、



~3:気づかない。


視覚の物理システムとその設定、機能の様式。
見えるもの、見えないもの。それらのすべては、
祖先が自らの記憶として、子孫の肉体の感覚の中に、
なんらかのカタチとして、そして、その機能の様式として
残していったものなのである。

そして、それを私たちは、まぶしさの中に見ている。
あるいは、閉じた目の中の闇の世界に見ているのである。
たしかに、暗い闇のなかから、灰色のマダラ模様のようなものが
浮かんできて見えるが、それがいったいどうしたというのだろう。
にもかかわらず、気になって仕方がなく、どうしょうもなく惹(ひ)かれて
しまうのである。なぜなら、それは自分自身を見ているからである。

それは眩(まぶ)しさも同じで、
それが眩(まぶ)しさというもので、強烈な光の強さで景色が飛んで、
世界のすべてが真っ白になった状態である。もっと正確にいうと、
それはまぶしさの中であり、まぶしさの向こう側の世界を見ている
のである。白いまぶしさの中で、世界のすべてが呑み込まれて、
その向こうのかなたに、別の、異質な世界を見ているのである。

それは本来ならば、見てはならないもの、見えないもの、
見る必要のないもの。あるいは、もしかすると、普段の日常の、
ごくありふれた日々のなかに、どこにでも見つかるものなのかも
知れない。いつでもどこでも見えているはずなのに、ただ自分が、
それに気づかないでいるだけ、なのかも知れないのである。

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