(  市)ルネサンスへ<2016-0415 (続)早春、



~2:湿気。

といっても、空気自体はいまだ少し冷たく感じられる。
つまり、ここちよさのなかに、緊張感がある。
それが朝と昼、夕方と、ゆるんでは閉じて繰り返されるのである。
あるいは、冬から夏、夏から冬へと繰り返されるのである。
閉じて開いて、緩んで締めて、生と死がくり返される。
そして、それを身体が知っている。だから、あわてて動揺することは
ないが、毎日がとってもいそがしいのである。
朝と夕の温度変化と、季節の移り変わりに追い立てられるのである。

早春の明け方の、空気のいまだ冷えびえとした寒さ、
春の中ごろの冷たい緊張感、初夏のまだ冷たさの残る爽快さ。
それは、つまり、地表の大気の温度と湿気(水蒸気)に、
人間の肌が反応しているのである。

まず、例えば、気温が10度C下がると、飽和水蒸気量は半分に
下がる。 ということは、大気が抱え込んで伝達する熱の絶対量が
半分に下がるということである。仮に、30度C下がると熱または
寒さの絶対量は8分の1にまで下がる、ということである。

人間が感じる寒さ暑さは、温度(質)×水蒸気(量)の、熱の絶対量で
決まるのである。気温が極端に低くても、それに含まれる水蒸気が
少なければ、むしろ涼しいとか、痛いという感じなのである。シベリアや
カナダ、あるいは日本の北海道の気候がそうである。

この、気温と飽和水蒸気の割合というものを、きっちりと理解しておく
必要がある。温度が少し違うだけで、大気が吸収、または吐き出す
水蒸気の量、すなわち「熱」の総量が、全然違ってくるのである。
日本は湿気の非常に多い国で、それはつまり、同じ気温であっても、
その体感は、乾燥した熱帯や寒帯よりも、はるかに強烈である。
蒸し暑く、底冷えのする気候なのである。

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