(  市)ルネサンスへ<2016-0513 霞(カスミ)の世界。



~4:あっちの世界。

だから、不思議な異和感をおぼえるのである。
現実が非現実の、まるで異界の景色のように思えてくるのである。
そして、近づいて見てみると、やはり何の変わり映えのしない、
ごく当たり前の風景であって、それでもって離れて見てみると、
やはり、霞(カス)んでぼやけた、自分のなかにある、なにか言い知れぬ、
忘れもの、失われた記憶のように思えてくるのである。

霞(カスミ)のなかで、薄ぼんやりと浮かんでいる山々のシルエット。
僕は、観念の世界のなかで、現実とあっちの世界を行ったり来たり
しているのである。カスミのなかで、うすぼんやりと漂う影が、なにかを
僕に暗示し、そして僕自身それに何かを期待し、そして予感して
いる。

僕の中で何かが死に、そして生まれようとしている。それがわかるので
ある。だから、意識することなく何かを感じているのであり、自分の
カラダがそれを知っているのである。コトバとか理屈を無視して、
僕の感覚が、感覚だけで何かを感じとっているのである。なにかが
始まろうとしている。これは予感であり、予徴であり、そして確かな
前兆である。

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