(  市)ルネサンスへ<2016-0513 霞(カスミ)の世界。



~6場面。

自分自身といったものが欠落している。
ものごとを自分で考えて、自分の責任で、自分を生きるといったこと
がない。だから見えて来ないのである。見えないのである。本当の
現実というのが、だれか偉い人に言われて、指示されて、初めてそれ
が自分の考えのように思えてくるのでる。誤解している。自分の都合
のよいように勘違いしているだけなのである。

始めから最後まで自分の考えというのが欠落しているのである。
自分の精神の中で発見も発掘も、叫びも、恐怖も、喜びも、
そして戸惑い、揺れ動く心の動きといったものが無いのである。
自分自身というのを喪失しているのである。何かに驚き予感し、
ためらい、迷うということがないのである。自分で自分をかえりみる
ということがないのである。自分を見つめるという場面がないのである。
自分で自分を生きることをやめてしまったのである。

だから本当の現実が見えて来ない。迷信と偽善の世界を生きている。
だから、現実に起こっていること、自分の身体で感じていることの
正体がわからず、それに気づくことのないまま生きているのである。
そうやって生きて行けるのである。それ以外の生き方を知らず、また、
その必要もないのである。身体が何かにめざめ、意識といったものが
自己にめざめる、といったことがないのである。

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