(  市)ルネサンスへ<2016-0513 霞(カスミ)の世界。



~7:欠落。

自分が何かを感じるというのは、外からの刺激であって、それを自分
自身の経験と記憶でもって、それが何であるかを自分なりに考えて
判断するということである。残念なことに、そうした過程がどこかで
切断され欠落している。心のなかで抜け落ちていて、ブラックホールの
ような落とし穴になっている。自己同一性(アイデンティティ)のどこかが
完全に欠落している。

それは、だれも気づかないし、見ようともしないし、見てはならない
ものなのだ。だから務(つと)めて気づかないふりをしているし、知らない
ように務めているのである。そうするしかないのである。それを「知る」
ということは、システムが定めたレールから逸脱することを意味している。

世間から見捨てられる。袋だたきにあって排除される。隔離・破壊・
抹殺されるか、完全無視されるかである。これでは生きて行けない。
収入が閉ざされる、そしてそれ以上に孤独にさいなまれ苦しむことに
なる。「生きて行けない」とは、このことである。だから、気づいてはなら
ないのである。気づくことが無いのである。自分自身の心の中の、
どこかを欠落させたまま生きているのである。

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