(  市)ルネサンスへ<2016-0513 霞(カスミ)の世界。



~8:切断。

だから、そんな、わずらわしいことは誰もしないのである。
テレビと新聞が、偉い先生が教える結論だけを教えてくれるのである。
それで十分なのであって、余計なことを考えると、かえってややっこしく
なるし、それどころか仲間はずれにされる。誰からも相手にされなく
なるし、生きて行けなくなる。だから、考えてはならないのである。
ここでも日本社会特有の、自己意識の欠落が見える。

自己の感覚と意識といったものが、どこかで切断されている。
自己と他者との境界が、どこかで混同されている。
肉体と精神が切断されて、自分を見つけられずにいる。
自分が見えなくなって、わからなくなっている。
自己の同一性・連続性といったものが、どこかで切断され、
断絶している。肉体と感覚、そして意識と記憶といったものが、
同じ自分自身のものとして上手(うま)く統合されずに、
どこかで途切れて、切断されたたままになっている。

だから、いつもどこかで飢えていて、何かを求め渇望している。
それがいったい何かというのがわからず、何をやっても結局、
満たされるということがないのである。だから、より一層、体裁だけの、
中身がカラッポの、外面だけを追及せざるを得なくなっている。

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