( 市)ルネサンスへ<2016-0527 カスミの風景、
~1:非常に薄い雲。
キリとかカスミで、風景がかすんで見えるのは、 大気中に不飽和水蒸気があるからで、いくら水分が多くても、 夏の高温下で飽和していれば、風景がかすんで見えることはない。 春に風景がかすんで見えるのは、いまだ大気の気温が低く、 昼夜の温度差が著しく、そして夜露(よつゆ)と雪解け水が、 直射日光によって蒸発して、水分というのが供給され続けるからで ある。水蒸気が日中の気温の上昇によって飽和されるよりも、 供給されるのが多いからである。これがキリとかカスミ(霞)の正体で ある。 早春から初夏にかけては晴天が多く、霞(カスミ)が地表面から天空へ と空全体を覆っている。コントラスト(明暗)が白い色の方へと傾いている。 空気そのものが水分を含んでいて白っぽく見えるのである。これが、 春カスミである。霧より薄く、靄(モヤ)よりも濃い水蒸気が世界を包む。 非常に、非常に薄い雲が、空と地上全体を覆うのである。 地上の世界が、非常に薄い雲の中の世界へと変化する。 このうす雲の中で光が拡散をくりかえし、影と陰影が限りなく透明に なって、白いカスミが世界全体を覆(おお)う。 晴天の日にカスミ(霞)が多いのは、放射冷却によって地表面の気温が 下がり、それだけ霧が発生しやすくなる。だから反対に濃いキリの日は、 たいてい雲一つない晴天の日となる。 戻る。 続く。 |