(  市)ルネサンスへ<2016-0527 カスミの風景、



~2:衝動。

早春のころの冬の雪解け水も、少なからずカスミの発生に関係して
いて、水蒸気(カスミ)の供給源となっている。
春の日々のおだやかで豊富な水分と、優しく暖(あたた)かな日差しは、
植物のめざめと生長をうながし、春独特の色と形でもって地上と世界
をかたちづくる。こうした植物の新芽や新緑は水分を多く溜め込む
もので、それがまたカスミ(水蒸気)の発生しやすさとなっている。

こうした春の日々の情景、場面といったもの、それはひとことでいうと
「白い空気」の世界である。空気が世界を支配していて、人々と、
自分自身の心のなかを支配している。
春は白い色、夏は黄色、秋は灰色、そして冬は青色である。
これが日本の空気の色である。

それは目を通した視覚としてというよりも、身体(カラダ)全体、
意識以前の、肉体の感覚の記憶として保存されていたものが、
めざめて来て、そして感じられるのである。身体全体の五感として、
本能として、根源的な衝動として感じられてくるのである。

 戻る。                          続く。

<ルネサンスへ