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4、異界。

同じものを、現実の意味とはまったく別の意味を持つものとして、見ようとしているのである。だからそれは、ないものを見ているのと同じことなのである。あり得ないもの、あってはならない、あるはずのないもの、あるいは、それがあるとすれば、自分の存在そのものを否定し、自分の存在を失ってしまうようなものを見ているのである。

それは、現実という見えない壁(かべ)を越えてしまったのである。異なる異質の別世界から現実を見ているのである。こうした自分はいったい何なのだ? 自分はだれなのだ? それは、現実という世界のカテゴリーの中にはない存在なのである。

だから、驚きもするし、当惑し、ためらい、言い知れぬ違和感と疑惑に、自分がさいなまれ続けるのである。現実が、様々に無限に変化して移って行く。そしてそれ自体が、自分にとって生きた別世界のように思えてくるのである。


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