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それは意識されている自分ではない。自分とは別の、自分でも意識されることのなかった、消えて失われたままの、遠い遠い、非常に遠くの、限りなく遠い、そうした自分自身の中の記憶なのである。 いまとなっては跡形(あとかた)もなく消えてしまっている、そうした自分自身の肉体だけが知る、肉体自身の記憶なのである。 自分自身の拠りどころ、根源といったものなのである。そうしたことを自分自身の身体内部の、障害や不具合を通して感じ取っているのである。そうした意味で、意識とは違って、自分の肉体は正直なのである。 |
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