index< 日誌 < ap理由 aw色 ab女体 < 21-56「相似と相同5:ピンク色」


3、放棄。


自分の意志というのが不必要で、無意味で、それどころか有ってもならない、そうした自己の自意識が喪失した世界である。それは有ってはならず、あり得ない、非現実の世界でなければならないのである。

自分が自分から離れて行って、自分が自分でなくなって、自己と他者が限りなく接近して行って境界線が消えて無くなっている。自分と外の世界の区別が無くなって、自分が溶けて外の世界と一つになっている。

だからまた、それが居心地が良いし、馴染みやすく、自分にとっても落ち着きやすい世界となっているのである。なぜなら、それは、生きている自分の肉体を放棄した世界だからである。自分から進んで自分を捨てて、夢の世界を生きているからである。

それは同時に節操がなく、なにもかも誰に対しても無差別に自分を開いていて、そして自分を捨てて親しい仲であろうとする。自分が自分であろうとする、そうした意思が始めからなく、そしてまた、自分が自分であったことのない、そうした色なのである。「親しい仲」というのが、自分と相手を否定したところに成り立っている、そうした非現実のおぞましい世界なのである。



戻る。                     続く。


index< 日誌 < ap理由、 aw色 ab女体 < 21-56「相似と相同5:ピンク色」