index< 日誌 < au錯覚 < 21-59「肉体との対話」


1、しあわせ。


自分が否定される、自分の存在を喪失する。自分が自分で無くなる、自分が誰かに乗っ取られる、だれかが乗り移ってきて、取り憑いて、自分の身体が自分のものでは無くなる、そうした状態。身体は生きているが、もはやそこには自分が存在しないのである。

自分が自分であることの、自分自身の存在の必然性。そして他人とハッキリと区別される、自分自身の意志や自律性、システムといったものが壊れていて、他人と自分との区別が無くなっている。区別できなくなっている。

もはや自分を喪失していて、自分が自分で無くなっている、そうした状態である。しかし、これだけでは恐怖など存在しない。恐怖とは、そうした自分、失われそうな自分を自分が意識したときなのである。

だからまた、それが意識されない時点では、それはむしろ幸福なのである。自分で自分を意識せずに済む、という意味で幸せなのである。自分が「自分たち」である限り、悩みなど存在しないのである。



履歴へ                     続く。


index< 日誌 < au錯覚 < 21-59「肉体との対話」