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6、はずかしめ。


しかし、このような群れの中の「上下の人間関係」というのは、国民や民族のあいだでも当然のように信じられている。かつての白人(欧米人)が有色人種に抱いた差別感情がそうであったし、そしてまたかつての日本人が半島や大陸の人間に抱いた感情が、またそうだったのである。

もしも、韓国人が日本人に抱く敵意や憎しみといったものを、「逆恨み」というのなら――もちろん、そうなのだが――戦前戦中の日本人が白人(欧米人)に抱いた感情が、まさしくそうした感情なのである。

それは自分たちの経験や記憶、そして自分たちの祖先のタマシイを蔑(ないがし)ろにして辱めるものだったからである。それは自分たちの存在そのものを否定するものだったからである。しかしまたそれは、自意識というのが「自分たち」という集団の中から独立しない以上、仕方のないことだったのである。

戻る。                続く。

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