index< 日誌 <au錯覚<23-80「闇の中」p6 |
それは果てしなく遠い過去からの反響である。響き、共鳴し、そして無差別に乱反射を繰り返しながら、響いてくるのである。まるで底の見えない井戸の中をのぞき込んでいるようなものである。 なにか得体の知れない、すがたカタチも定かでない者が闇の中に潜(ひそ)んでいて、そしてささやき続けている。そしていざない誘っている。それは自分自身のタマシイの世界なのである。 だから、そこに長くとどまっていてはならない。何ごともなく、気にも留めることのなかったように、何気なく離れて通り過ぎて行かなければならない。これは自分の中のタマシイの世界なのであって、それが現実を生きている自分をとらえて、見つめているのである。「こちらへおいで」と。 あるいは、あるはずのないカガミ(鏡)の中の、向こう側の世界なのである。自分の中に住む、もう一人の別の自分を見ているのである。 |
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