index< 日誌 <au錯覚<23-80「闇の中」p6 |
現実の世界が歪んできしみ、裂けて、めくれて、途切れて、その引き裂かれた裂け目の奥から、だれかが僕を見つめている。それはもう一人の、ぼくの中に住むぼく自身なのだ。 このようなものに実体などあるはずもなく、従ってまたそれは、すがたカタチとして見えるはずのないものなのである。しかし、そうであるにも関わらず、それが見えるし、聞こえもするし、物理的にそれに触れて感じることもできる。少なくともそれが、自分の中では感じられている、ということなのである。 だからそれは錯覚であり、誤解・誤認であり、錯誤や幻覚でしかないのである。しかしまたそれは、そうやってしか自らを表現し得ないものだったのである。なぜか?それが、実体のない妄想の世界だからである。 しかしまた、それが「感じられる」というのも事実なのである。そして、この方がはるかに大事なことなのである。それは、自分の中で見えるはずのないものを見ているのである。見えないものを見ているからである。 |
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