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3、閉じた世界。


従ってまた、だからこそ芸術家は、自らの思いや見果てぬ夢といったもの、もしくは永遠の苦悩といった、ありもしないも妄想を現実のすがたカタチとして表現し得るのである。

従ってそれは、現実のすがたカタチとして表現されても、それが表現し得るのは現実の出来事ではない。たとえ現実の出来事を表現していても、それが表現し得るのは、現実を無視し、現実を素通りし、それを越えたところにある抽象的な「思い」に過ぎないのである。

すなわち、現実から切断されたところにある、閉じた心の中の純粋な苦しみや悩み、あるいは楽しさといった妄想に過ぎないのである。もっと正確に言うと、何らかの現実との関わりのある感情などではなく、より観念的で精神的な情緒でしかないのである。


戻る。                続く。

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