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それが、自分たちを気づかないままで、どこかへ導き、いざない、方向づけている。かすかな得体の知れない、不可解で奇妙な記憶のカケラ、余韻、反響、痕跡とでもいったものである。このような自分でもはっきりと自覚されることない、自分の中の未知のリスクのことを言っているのである。 しかし、それはまた、自分自身が現実を生きて行くための、言い知れぬ変異のための可能性になっているのである。ちょうど底の見えない井戸の中を覗(のぞ)いているような状態である。 そうしたことが夢の中や、真昼の白日夢(幻覚)や、ものかげや暗がりの中で寂し気な人影のように見えてくるのである。それは何かを暗示し、指し示すものであって、そしてそれへと導き誘う「目印し」なのである。 |