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無意識の世界とは、記憶や思考の世界を言っているのではない。それ以前の、それを成り立たせて、それの背景になっている、記憶や思考以前の世界を指している。 一つは、思考になる前に失われた世界である。すなわち、感覚の感じ方の世界である。感覚と生理が肉体の中で乱反射を繰り返しながら蓄積されて行って、それがリズムとなった感覚の感じ方の世界、つまり、情緒の世界である。 もう一つは、感覚が意識にまで昇って行って、そして忘れられ、失われたのちの世界である。感覚が感じ方となって、記憶や経験として意識や思考の世界にまで反映された後、それらの記憶が不要となり省みられなくなって、忘れられ、そしていまとなっては何かしら正体不明の印象の痕跡や断片としてだけ残っている。そうした記憶というのが忘れられた無意識の世界である。 |
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2019-0104-0113