index< 日誌 < s設定 < 23c-41錯覚5 「初期化」p3 |
それは、自分の心の中の世界を見ているのである。夢の中の無意識の物語りや、イメージと象徴の世界がそうなのである。自己の情緒といったものが、夢の中で現実の出来事を抽象化し、例えたり、暗示したり、何か他のすがたやイメージでもって現れてくるのである。 そしてそれらを繋(つな)ぎ合わせ、関連づけ、そして情緒といったものをデフォルトの、普通の日常の世界に戻そうとしているのである。つまり、夢の世界は、断片化された記憶の起伏を、情緒の世界で初期化して消化しようとしているのである。 人間にとっての錯覚といったものは、このような夢の世界での果てしのない連想や仮想の繰り返しなのである。また、そうして自分が元に戻ることによって、さらにまた、錯覚を繰り返してゆくのである。 そしてこれが人間の意識や思考のすがたなのである。言い換えると、これが情緒の世界なのである。 |