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遠近による、空間の拡がりと距離感といったものも大した意味を持たなくなっている。ちょうど薄モヤの中から浮かび上がってくるような世界である。自分が外の世界から見つめられていると同時に、外と自分との区別が無くなって、境界が曖昧になっている。 自分で自分の中を覗き込んでいるといった、そうした倒錯した印象を受けるのである。景色全体が、それを見る側の自分を見つめている。あるいは、自分が光源になって世界全体を照らしている、そうした印象を受けるのである。 それは変化というのがない、永遠の、時間と空間というのがなんら意味を成さない、そうした言わば、夜の薄暗い月明かりの下の、まるで夢の中で見るような、のっぺりした世界なのである。 |