index< 日誌 <s設定< 24b-01「文明の条件」p8 |
現実の世界に同じものなどあるはずもなく、同じものがあるとすれば、それはただ人間が意図して人為的に作り上げた、便宜上の仮想の世界、観念の世界の中だけである。 しかしまた、この個体同士の間のささいな違いの個性といったものが、時と場所、そして変化する環境の中で重大な意味を帯びてくる場合がある。 ふだんの日常的な、どうでもよい何の意味も持たなかったささいなことが、重大で致命的かつ決定的な意味を持ってくる、そうした場合がある。これが予期せぬ「環境」の激変がもたらす結果なのである。 環境の変化は外からやってくる場合もあるし、自分たち人間社会の中で作り出される場合もある。要するに、そうした変化する現実の中で、自分もまた変化せざるを得なくなっているのである。自分を取り巻く環境の地政学的条件の下においては、そうならざるを得ないのである。 |