index< 日誌 s設定 au錯覚< 24b-46思い込みI 「存在の原因」p7

6、陰(かげ)


それは見えないものなのかも知れないが、常に私たちに付きまとっていて、そうした時間的に連続した世界を私たちは生きているのである。それは現在から見ると失われた記憶、忘れられた歴史とでもいったもので、しかしまた、どこかで未だ繋がっている世界なのである。

それは、いまは見失われた、いにしえの文明の遺跡の廃墟に遭遇した時に、それが私たちに何か言い知れぬ想念を呼び起こすのと同じことなのである。そうした、いまは失われた陰に過ぎないような廃墟の中に、自分たちの過去と現在を見ているのである。

そうした意味で、それは意識されざる無限の潜在的な可能性とでもいったもので、私たちは、そうした自分でも気づかない、目に見えない世界をも生きている。16世紀の西洋人は、これをもってルネッサンス、もしくは復興と再生と言ったのである。

戻る。                続く。


index< 日誌 s設定 au錯覚< 24b-46思い込みI 「存在の原因」p7

2018-0719-0725