index< 日誌 <l見えないもの< 24b-71「妄想する感覚」p6 |
そっと、まんべんなく撫でるように、生あたたかい空気が過ぎてゆくのである。ふだん意識もされず、あり得るはずのない生あたたかい風が、暗闇の中から、一人ぼっちの自分に直接そっと触れてくる。見えない何か得体の知れないものが僕に直接触れている。そして僕の中に入って来ようとしている。 それは自分の中からも、忘れていた無意識の記憶として呼び覚まされ、感じられて来るのである。だからまた、それが不可解であって、逆らうことも逃げることも出来ない絶対的な強制力となって、自分に迫ってきているのである。 意識や、見える現実を素通りして、それを無視して直接自分に問いかけてきているのである。そしてまた、自分の中からも、それにコダマし呼応しようとしているのである。 自分の中で何かを勘違いしていて、そしてそれに自分が乗っ取られようとしているのである。自分で自分を絞め殺そうとしているのである。そうして自分が自由になれると勘違いしているのである。 |