index< 日誌 < s設定 < 24b-86闇の中からA 「村はずれの谷底」p8 |
このような現在となっては、ほとんど見かけない山奥の峠道というのは、電灯が普及する前の昔はさぞかし恐ろしい世界であったに違いない。人知の届かない意味でそうである。また、人間社会の理性が届かない世界という意味でもそうである。 だから、言い伝えにある「旅人を家に誘い入れ、その肝を食べて生き続けた」峠道のオニババァ伝説も、ホントのことだったように思えてくる。実際、20世紀の中頃まで飢饉の際に、ロシアやその他の地域で人肉が堂々と市場で売られていたし、食べられてもいた。 やはり、恐ろしいというのは、このような人間が倫理を失くしたときのことである。しかし、これも生きて行くためには仕方のないことだったのかも知れない。 |