index< 日誌 < s設定 < 24b-86闇の中からA 「村はずれの谷底」p8 |
このような闇の底、もしかすると底などなくて、際限なく落ちて行く底なし沼なのかも知れない。自分などなくて、自分を見失い、見つけられず、失っているのかも知れない。そして、それすらも、もはやどうでもよいものになっている。 イヤ、そうではない。これは人間が闇のオニババに完全に呑み込まれた状態である。悪霊というのかも知れない。心の中に巣食うもう一人の別の自分に取り憑かれ、乗り移り、乗っ取られ、自分が自分でなくなっている。そうしたオバケや悪霊たちの世界である。 このような自分だけの世界。閉じて鎖につながれた自分しか見えない精神。これでは他人の心が見えない。理解も出来ず、知ることも出来ない。相手を認めたり尊重することもない。あるのは自分の都合だけで、そうした閉じて自分以外なにも見えない世界である。そうした、あらゆる悩みと苦痛から解放された世界である。 |