index< 日誌 < s設定 < 24b-86闇の中からA 「村はずれの谷底」p8 |
自分自身といったものが未だ自覚されることのない世界である。主観と客観の区別もなく、自己と他人の区別も未だはっきりしない、そうした世界である。あるいは、文明以前の野蛮の世界なのである。 いまだ闇に閉ざされたままの、いったいどこからどこまでという区別も境界もなく、そして何よりも自分という自意識の曖昧な世界なのである。自己の精神の領域と、その外との境界がボンヤリしていて、人格とプライバシーの概念が限りなく曖昧な世界なのである。 |