index< 日誌 < l見えないもの < 24c-69精神が現れるところC 「陰(かげ)」p4 |
それはこの近くのどこかにあるはずで、あらねばならないはずのもので、必ずこの近くにあるはずなのであって、ただそれが見えづらく、分かりにくい所にあって、気がつかないだけなのである。 だからそれは気づきにくく、見えづらい隅っこの端だとか、薄暗い影の奥といった、本来だれも気に止めないような、目立たないところにあるはずなのである。だからそれは部屋の中の壁と壁の間の隙間だったり、陰の部分とか、あるいは天井の隅のような、本来ならば誰も見たり気にしたりすることのない所に居るように思えてくるのである。 そしてそれが自分にはどうしても気になって仕方がないのである。屋外でもそうした夜の月明かりの下の暗がり、真昼の緑陰の奥、窓ガラスの向こう側の何か見えづらく薄暗い影の中に、「何か」を見てしまうのである。 |