index< 日誌 < aj情緒< 24d-17「裂け目」p2 |
景色の中のどこか、どこでもよい、何の関係もない一部分が、人間の顔や姿のように見えてくることがある。何も似ていないのに、そのように見えるし、思えてきて仕方がないのである。 何気なく気づかないまま、だれかが僕を見つめている。目立たず、気にも留めず、意識もされないままで、いつでもどこでも僕を誘い、導き、引きずり込もうとしている。 深い霧の向こう側で、壁と壁の間の薄暗い、ほとんど何も見えない陰の中から、覆い茂った草むらの緑陰の中から、誰かが僕をじっと見つめ続けている。夜中の薄明りの狭間の奥から、そして夢の中で、僕を誘い引きずり込もうとしている。 |