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5、サイン。

事実、涙はアクビやセキ、クシャミ、嘔吐の場合のように感情とは無関係に、また、意志に反してさえも、感情とは無関係に出てくる。しかしまた、涙が出ることによってもっと感情的になるし、またそうやって自分に納得し確かめてもいるのである。

このようにして本来、感情とは無関係であるはずの体内の生理作用といったものが、感情と情緒のあり方に大きく影響してくるのである。

涙が出るというその始まりは、単に偶然の出来事に過ぎないものなのであるが、それが何百世代の何万年と繰り返される過程で、涙それ自体がサインとなり、象徴となり、印象となったのである。

そしてまた、これが自分自身の自意識の証明となったのである。それどころか涙がそれ自体で、またそれだけで、感情とは切り離された意志表示の手段となっていったのである。

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2020-0210-0215