index <  日誌 < 目次。< K夫人:舞台p14



〜4 ポジション(位置)。

たしかに僕は迷惑をかけてしまった。人の嫌がることを言ってしまい、相手の心情を不快にさせ、キモチワルイ思いをさせてしまった。だから、そうならないためにも、ちゃんと理由を考えておかなければならない。どうせ、バレるならば、バレるまえに告白し白状しておいた方が得策である。「やっぱり、天使に見える」と。

だれが見たって天使にしか見えないし、天使であるはずだし、また、天使でなければならないのである。客観的に、そして公平に見て、やはり天使にしか見えないのである。どのように見ても、天使以外にはありえないのである。やはり、天使であるとしか言いようがないのである。

そこは天使のいる場所で、天使でなければならず、天使が宿る場所なのである。たとえどこであっても、天使は存在していなければならないものなのである。いつでも、どこでも、何をしていても、天使は僕のどこかに存在していなければならず、そしてまた、そうしてのみ僕は僕たり得るのである。

それは、だれにとっても必要なものなのである。人間精神が生きて活動する上で、どうしても必要なものなのである。そしてその場所が彼女のいるところ、彼女の存在理由であり、彼女のいるポジションなのである。それは現実の空間的・物理的ポジションだけでなく、むしろそれ以上に、精神的ポジションを彼女が担(にな)っていたのである。見落とされ、失われ、忘れられていた、そうした精神の空白部分を彼女が占めていたのである。

それは男性だけの職場において、どうしても必要で、なくてはならないもの、そしてまた同時に、それは彼女にしかないものだったのである。そうやって職場に均衡が保たれ、心のバランスと調和が生まれ、人間の生活と、業務というのが営まれてゆくのである。そうやって人間が生きている現実が営まれ、破壊もされずに維持され、保存され、継続して行くのである。

 戻る。                        続く。

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